溺れる魚

逃げようと
唯、無我夢中だった


理由なんて解らない
想いに向かって
…一直線に走っていた


もがいて


求めようと、
聲を発しようと口を開けば
空気が喉を通るだけ。



それは止まっていた時間

再び刻めば
全てが無かった事の様に、進む



諭されて
その行為は無駄だと
初めて識った

身を護る為の盾(ｳｿ)ならば、それは嘘にはならない？

どうしよう…


どうしたら…


告げなくてはならないものと
隠さなくてはならないもの。


総て私を構成する破片たち。
－脆く、儚いもの

見極めなければ…
苦しむのはきっと、自分だから


違ウ事ノ無イ様ニ。
私ガ私デ在ル為ニ。

白。

浮かべましょう…？
手向けの花を。

まっしろな花は
頭からぼとり、と
落ちる

―初めから其所に
何も無かったかの様に。


憎悪、嫉妬…
渦巻く感情たち。
歪んでいて酷く美しい
―けれど、寂しいもの

でも、最初から無かったら…？
この想いさえ
作り物だと笑えるだろう

『醜い感情(ﾓﾉ)も
　全て棄てて
　空っぽになるの。』


何れ消え逝く灯(ｲﾉﾁ)なら
躯ともに沈めてしまえ

限られた運命の上に

首筋に
ゆっくりと、ゆっくりと
力を込める
軋む音が響き渡るまで。

…ぽたり
滴り落ちる、紅い雫
瞬きと共に
視界を遮り、頬を伝う


朽ちて腐敗して。
止めどなく溢れては止まらない
深紅のそれは

何処までも
酷く、美しく見えた


荊の刺が描く傷
痛々しい程に跡が残れば

それは、きっと
…快楽への誘い

溜マル恋ノ葉

そのヒトコト。
－言うにはきっと、たくさんの迷いがあると想うの。

言ノ葉はそのヒトの信念だから。

溜まる想いを吐き出して、それを受け止めてもらえなかったら。

…それはとても怖いコト。

だから悩む。
何かを築くには相応の犠牲も必要になる－
それは同じ量りに掛けれるものでは到底ないから。


でも、悩むということはそれだけ一所懸命ということでしょう？
…だから、諦めないで

進むこと。
それは一つの勇気だから

堕響誘羅(ﾀﾞｷｮｳﾕｳﾗ)

閉じた瞼の奥に見える、もう一つの世界。



歯車はゆっくりと廻りだし－針は偽りの時を示す
日は落ち、月が照らす。
ヒトはその闇に溺れ、下らない連鎖を飽きもせず、ただひたすらに繰り返し逝く


噛った林檎の味は媚薬…
視界に映るは夢幻のなか。
深紅のそれは－まるで血のように何処までも紅く


狂ったもの程美しい…
堕ちに堕ちゆくそれを綺麗だと君は嘲笑する